FileFix攻撃とは?エクスプローラーを狙う新手のサイバー脅威と対策

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近年、新たなサイバー脅威として「FileFix攻撃」が注目されています。

従来のマルウェアとは異なり、Windowsユーザーが日常的に利用するエクスプローラーを悪用するのが大きな特徴です。

ファイルの閲覧や整理に欠かせない機能であるため、利用者の警戒心が薄く、気づかないうちに感染してしまうリスクが高まっています。

この記事ではFileFix攻撃の仕組み・被害事例・対策方法をわかりやすく解説します。

エクスプローラーを利用するすべてのユーザーが知っておくべき最新のセキュリティ情報として、ぜひ参考にしてください。

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FileFix攻撃とは?

FileFix攻撃

FileFix攻撃とは、Windowsのエクスプローラーを経由して不正プログラムを実行させる新しいタイプのサイバー攻撃

攻撃者は偽装されたファイルやショートカット(LNKファイル)を仕込み、ユーザーが通常の操作をしたつもりでも、その裏でマルウェアが動作するよう設計されています。

従来のマルウェアはメールの添付ファイルや不正サイトから直接感染するケースが中心でした。

一方、FileFix攻撃は「日常的に使うエクスプローラーを悪用する」点で異なり、利用者が警戒しにくいため被害が広がりやすいのが特徴です。

エクスプローラーはWindowsに欠かせないファイル管理ツールであり、ユーザーの操作と自然に連動して動作するため、攻撃者にとっては不正コードを仕込む絶好の標的になっています。


FileFix攻撃の仕組み

FileFix攻撃の仕組みは「感染経路 → エクスプローラー経由での実行 → 感染後の被害」という流れで進行します。

まず、感染経路としては以下のようなパターンが確認されています。

  • 不正に細工されたファイルを開かせる
  • 偽装ショートカット(LNKファイル)をクリックさせる
  • ZIPなどの圧縮ファイルを展開させる

これらは一見すると通常のファイルに見えるため、多くのユーザーが警戒せずに操作してしまうのが特徴です。

次に、エクスプローラーを経由して動作する理由は、Windowsの基本機能として常に利用されるツールだからです。

エクスプローラーからでも感染するという認識はあまりないのでは??

ダブルクリックや右クリックといった日常的な操作と連動して不正コードを実行できるため、利用者に違和感を与えず感染を広げられます。

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実際にあったエクスプローラー例
  1. リンクやボタンをクリックしてください(クリップボードにセットしてエクスプローラーを起動
  2. CtrlキーとLを同時に押してください(エクスプローラーのアドレスバーにカーソルを移動
  3. CtrlキーとVを同時に押してください(エクスプローラーのアドレスバーに貼り付けられる
  4. Enterを押してください(エクスプローラーのアドレスバーに貼り付けたプログラムが実行される
  5. PowerShellやコマンドプロンプトでコマンドが実行され、外部に接続 → 感染

感染後には、以下のような被害が発生する恐れがあります。

  • PC内部の情報窃取(パスワード、個人情報、業務データ)
  • 外部から侵入可能なバックドア設置
  • 社内ネットワーク全体への拡散

このように、FileFix攻撃は「自然な操作に見せかけて侵入し、気づかないうちに深刻な被害を及ぼす」点が最大の脅威となっています。


FileFix攻撃による被害事例

1. 個人ユーザーの被害(パスワード流出・個人情報の盗難)

個人ユーザーはFileFix攻撃を通じて、何の疑いもなくクリップボード経由で実行されたPowerShellコマンドによって情報窃取型マルウェア(インフォスティーラー)に感染するリスクがあります。

このインフォスティーラーは、パスワード、クレジットカード情報、ログイン情報などの個人データを密かに収集し、攻撃者へ送信することで被害が生まれます。


2. 企業での被害(機密情報漏えい・業務停止)

企業向けでは、FileFix攻撃がリモートアクセス型トロイの木馬(RAT)—特にInterlock RATのPHPベース版—を配布する手段として悪用されるケースが確認されています。

Interlock RATは、実行後に以下のような被害を及ぼします:

  • システム情報やネットワーク構成の収集
  • Active Directoryやバックアップ構成へのアクセス
  • システム内部の横展開と持続攻撃
  • 最終的にランサムウェアの展開による業務停止やデータ暗号化

この手法は、攻撃の足がかりを確保するための極めて効率的な侵入手段として、実際に組織を狙ったサイバー攻撃で採用されています。


3. 被害が拡大する仕組み(ネットワーク内感染など)

FileFix攻撃では、ユーザーがエクスプローラーのアドレスバーに貼り付けて実行する操作を利用し、PowerShell経由で高度な攻撃を実現できます。

この方法は、従来のMark-of-the-Web(MoTW)によるセキュリティ警告をバイパスし、検出回避にも効果的です。

企業ネットワーク内では、RATを介して横展開しながら持続的なアクセスを確保することで、感染が組織全体に急速に広がり被害を増大させる構造となります。

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4. 実際の報告事例(CERTやセキュリティベンダーの情報)

いくつかの信頼性の高い情報源では、FileFix攻撃の実態が報告されています:

  • NTTセキュリティのレポートでは、2025年7月3日にFileFix手法が初めて観測され、安全な操作と錯覚させマルウェアを実行させる手法として注目されています。
  • Check Point社はFileFix攻撃がすでに実戦利用されており、ユーザー行動を悪用した“静かな社会工学攻撃”として警鐘を鳴らしています。
  • Interlockランサムウェアによる攻撃に対して、複数のセキュリティ調査機関(BleepingComputer、SecurityWeek 等)が、そのFileFix経路を介したマルウェア配布の実例として報告しています。

区分被害内容具体例被害拡大の仕組み
個人ユーザーパスワード流出・個人情報の盗難SNS・メールの不正ログイン、クレジットカード情報の漏えい感染した端末からクラウドサービスや他アカウントに連鎖的に侵入
企業機密情報の漏えい顧客データや知的財産の流出、社内ファイルサーバーの不正アクセスネットワーク共有フォルダを経由して社内に拡散
企業業務停止システムがバックドア経由で操作され、業務アプリが使用不能に社内PCの同時感染により全体業務が停止
報告事例セキュリティベンダーの調査報告日本国内外で感染事例が確認され、CERTから注意喚起が発表フィッシングメール経由で一斉感染が発生

なぜエクスプローラーが狙われるのか?

FileFix攻撃が「エクスプローラー」を標的にするのには、いくつかの理由があります。

まず、エクスプローラーはWindowsで最も利用頻度が高い基本操作ツールの一つです。

ファイルの閲覧・コピー・移動・削除といった作業を日常的に行うため、攻撃者にとっては効率的に多くのユーザーを狙える絶好のポイントとなります。

さらに、ショートカットキーや右クリックメニューを利用したトリックが多用されます。

たとえば「Ctrl + C / Ctrl + V」などの操作や右クリックでの「開く」といった日常動作に見せかけて不正プログラムを実行させるのです。

こうした自然な操作に溶け込むため、ユーザーが気づかないまま感染が進行するケースが少なくありません。

エクスプローラーのUIはユーザーにとって馴染み深く、普段から「安全な環境」と思い込まれているため、警戒心が低下しやすいことも要因です。

この“心理的な盲点”を突かれることで被害が広がります。

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エクスプローラーを安全に使うための対策

こうしたリスクに備えるためには、日常の利用時に以下の対策を取ることが有効です。

  • 不審なファイルを開かない:不明な送信元から届いたZIPやショートカット(.lnk)ファイルは開かない。
  • アドレスバーへのコピペ操作に注意:怪しいURLやパスを貼り付ける前に、正規のものであるか確認する。
  • 拡張子を常に表示する設定にする:実際のファイル形式を見極めることで、偽装を見破れる可能性が高まる。
  • セキュリティソフトを最新に保つ:不審な挙動を検知・ブロックする仕組みを常に稼働させておく。
  • Windows Updateを適用する:OSやエクスプローラーの脆弱性を突いた攻撃を防ぐために欠かせない。

エクスプローラーは便利な反面、攻撃者に狙われやすい「日常の入り口」です。

利用者自身が「いつも使っているから安心」と思い込まず、基本的なセキュリティ意識を持つことが被害防止につながります。


FileFix攻撃の対策方法

FileFix攻撃を防ぐためには、日頃からの基本的なセキュリティ対策と、企業環境に合わせた設定が重要です。以下に主な対策を整理します。

  • OS・セキュリティパッチを最新に保つ
    攻撃者は古い脆弱性を突くことが多いため、Windows Updateやセキュリティパッチを常に最新に維持することが重要です。
  • 不審なファイル(ZIP・LNKなど)を開かない
    メール添付やダウンロードファイルに含まれるショートカット(.lnk)や圧縮ファイル(.zip)は特に注意が必要です。送信元が不明なファイルは開かずに削除する習慣をつけましょう。
  • セキュリティソフトの導入と更新
    ウイルス対策ソフトやEDRを導入し、常に最新の定義ファイルにアップデートしておくことで、不審な挙動を検知・防御できます。
  • グループポリシーや設定による対策(企業向け)
    企業では、Windowsのグループポリシーを利用してLNKファイルの実行制御や、未知のアプリケーション起動制限を設定することが推奨されます。ゼロトラストの考え方に基づき、ネットワークや権限を細かく制御することも有効です。
  • バックアップ・復旧体制の整備
    万一感染しても、定期的なバックアップを取得していれば被害を最小化できます。重要データはオフライン環境にも保存しておくと安心です。
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✅ FileFix攻撃 対策方法チェックリスト

基本のセキュリティ対策

  • OS・アプリを最新の状態に更新(Windows Updateを定期的に適用)
  • セキュリティパッチを迅速に導入し、既知の脆弱性を塞ぐ
  • セキュリティソフトを導入し、常に最新版に更新

日常的なファイル利用時の注意

  • 不審なZIPやLNKファイルを開かない
  • 送信元不明の添付ファイルは即削除
  • 拡張子を隠さず表示し、偽装ファイルを見抜けるように設定

企業・組織での対策

  • グループポリシーで不必要なスクリプト実行を制御
  • ユーザー権限を最小限に設定(最小特権の原則)
  • ゼロトラストセキュリティの考え方を導入し、社内外問わずアクセスを常に検証

被害を最小化する備え

  • 定期的にバックアップを取得(オフライン・クラウド併用がおすすめ)
  • 復旧テストを行い、緊急時にすぐリカバリーできる体制を整備

このチェックリストを活用することで、個人ユーザーも企業担当者も、FileFix攻撃に対して実践的な防御が可能になります。


まとめ|FileFix攻撃は「知ること」が最大の防御

FileFix攻撃は、私たちが日常的に使うエクスプローラーを悪用する新しい脅威です。

攻撃の特徴を理解し、基本的な対策を実践することが、被害を未然に防ぐ最も有効な手段となります。

個人は「OS・セキュリティソフトの更新」「不審なファイルを開かない」といったシンプルな行動を徹底することが大切です。

企業はさらに一歩進んで、グループポリシーやゼロトラストの導入、従業員への教育を組み合わせることで、より強固な防御体制を築けます。

そして忘れてはならないのが「最新情報を追い続ける姿勢」です。

サイバー攻撃は日々進化していますが、常に知識をアップデートしていれば、不安を減らし冷静に対応できるようになります。

FileFix攻撃を知り、備えることが、最大のセキュリティ対策です。

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